商店街の公式ドメインとホームページを、組合が管理できる基盤へ【商店街振興組合IT再整備②】

前回は、倉庫に保管されていた古いPC4台をLinux Mintで再生し、組合事務所で使える環境へ整えた取り組みをご紹介しました。

今回は、PC環境と並行して進めた、公式ドメインとホームページ基盤の整備についてご紹介します。

13年間、更新が続いてきたホームページ

組合のホームページは、2013年の開設以来、約13年にわたって運営されてきました。

イベントの告知や組合からのお知らせを中心に、公開されている投稿は350件を超えます。毎年欠かさず更新されてきました。店舗の紹介、アクセスや駐車場の案内、商品券の情報、取材や視察の申込窓口など、商店街の情報発信の拠点としての役割を担っています。

作業の前に、インターネット上で確認できる公開情報から、現在の環境を確認しました。ホームページはレンタルサーバーとWordPressという構成で、WordPressやテーマ、PHPも新しいバージョンに保たれていました。長年管理にご協力いただいてきた方が、丁寧に運営してこられたことがよく分かる状態でした。

技術的な理由で、サーバーを急いで移す必要はありませんでした。

協力者の方と相談し、組合名義の契約へ

一方で、契約の形については、今後を見据えて整理しておく必要がありました。

これまでのホームページとメールは、管理にご協力いただいている方が契約しているレンタルサーバーの中で運用されていました。長年、組合の情報発信はその方のご厚意と尽力に支えられてきたことになります。

今後、担当者が変わった場合でも組合として引き継いでいけるよう、ドメインやサーバーの契約状況を確認させていただきたいと相談しました。すると、その方からも、「商店街として新しくサーバーを契約し、そちらへホームページを引っ越すのがよいのではないか」というご提案をいただきました。

そこで、次の方針で進めることにしました。

組合名義で、新しいレンタルサーバーを契約する
組合の正式なドメインを新たに取得する
新しい環境が整うまで、現在のホームページとメールはそのまま維持する
移行の際は、現在のホームページに関係するデータだけを、安全な方法で受け渡していただく

既存の運用を尊重し、協力者の方と相談しながら、段階的に引き継いでいく形です。

理事会に予算を申請し、承認を得る

組合の費用で新しい契約を結ぶため、理事会に予算申請書を提出しました。

申請書では、次の内容を示しています。

目的と背景
導入するサービスと、それを選んだ理由
契約期間ごとの料金の比較
初年度の費用の上限
実施の手順
管理と安全のための対策

契約期間は、長く固定しすぎず、毎月の更新事務も増やさない12か月を選びました。また、本契約の前に無料のお試し期間を使い、必要な機能が問題なく使えるかを確かめる手順にしています。

移行が完了するまでは新旧の環境が並行するため、その間は費用が重なります。この点も含めて説明し、審議のうえで承認を得ました。

組合の公式ドメインとして「.or.jp」を取得

これまでのホームページは、一般的な「.com」ドメインで運用されていました。

今回は、組合の正式なドメインとして、新たに「.or.jp」ドメインを取得しました。

「.or.jp」は、属性型JPドメインと呼ばれるものの一つです。登記された法人などの組織が登録でき、1つの組織につき1つしか登録できません。そのため、その組織の公式なドメインであることが分かりやすく、非営利法人である組合の対外的な信頼性を高めることにつながります。

レンタルサーバーも組合名義で契約しました。ドメインとサーバーの契約を組合が持つことで、担当者が変わっても、組合として更新や管理を続けられます。

先に「受け皿」を整える

新しいサーバーでは、すぐに旧サイトの内容を移すのではなく、まず新しいWordPressの環境を単独で構築し、安全に運用できる状態を整えました。

SSHとコマンドラインのツールから、WordPressを管理できる環境を用意
構築直後の状態で、ファイル一式とデータベースをバックアップ
バックアップを実際に復元して、元のデータと一致することを確認
構築中のサイトが検索結果に表示されないよう設定
管理画面からプログラムのファイルを編集できないよう設定
設定を変更する前には必ずバックアップを取り、問題が出た変更はその場で元に戻す

バックアップは、取得するだけでは十分ではありません。いざというときに戻せるかどうかを、最初の段階で確かめておくことを重視しました。

13年分の記録を、そのまま新しい環境へ

受け皿が整ったところで、協力者の方から、旧サイトのファイル一式とデータベースを書き出していただきました。

受け取ったデータは、まず原本として手を加えずに保管しました。それぞれのファイルにはチェックサム(ファイルが壊れたり変わったりしていないかを確かめるための値)を記録しています。移行作業で使うデータが、受け取った原本と同一であることを確認するためです。

そのうえで、新しいサーバーに次の内容を再現しました。

投稿:350件以上(2013年から現在まで)
固定ページ:20件以上
画像などの添付ファイル:1,000件以上

移行作業の間も、旧サイトには一切変更を加えていません。旧サイトと新サイトを見比べながら、件数や表示に抜け漏れがないかを確認できるようにするためです。

新旧を並行させ、段階的に移行する

旧ドメインは、すぐには廃止していません。

長年使われてきたアドレスは、チラシや印刷物、ブックマークなど、さまざまなところに残っています。当面は新旧のドメインを並行して運用し、新しい環境が安定したことを確認したうえで、段階的に移行していきます。旧環境の取り扱いは、十分な周知期間を設けたうえで判断する予定です。

正式な切り替えに向けて

新しいサイトは、すでに表示や動作を確認できる状態になっています。ただし、正式な切り替えの案内はまだ行っていません。

切り替えの前に、表示の確認だけでなく、運用に関わる部分も確認を進めています。

  • 問い合わせフォームから正しく送信できるか
  • バックアップを取得し、復元できる状態になっているか
  • ドメイン、サーバー、WordPressの管理情報

認証情報はメール本文でやり取りせず、安全な方法で保管しています。管理情報は、担当者が変わっても引き継げるよう、組合の資料として整理しました。

今後、組合内での確認を経たうえで、関係者の方々への案内とあわせて、正式に新しいドメインへ切り替える予定です。

記録を受け継ぎ、次へつなぐ

今回の整備で目指したのは、新しいものへ入れ替えることではありません。

長年積み重ねられてきた情報発信の記録を損なうことなく受け継ぎ、これからも組合が自ら管理し、続けていける形に整えることです。

ホームページやドメインは、一度作れば終わりではありません。支えてきた人の努力を、組織の仕組みとして引き継いでいくことも、IT整備の大切な役割だと考えています。

次回は、公式ドメインを使ったメール環境の整備と、事務局でのAI活用に向けた取り組みについてご紹介します。

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